小学生の家庭学習は本当に必要?
小学生の勉強は「仕事のない未来」に向けた準備
現在の親世代が就職したときに比べ、今の小学生が大人になった時の就職は、より困難なものになると言われています。
その理由は、多くのメディアでも伝えられている通り、AI技術の進歩によって多くの仕事が失われるからです。
英国・オックスフォード大学でAI研究を行うオズボーン氏によると、今ある仕事のうち702種類の職種が、90%以上の確率で今後10~20年のうちになくなると言われています。
これまで人が行ってきた業務が機械化されることで、効率的に仕事が行えるメリットがある一方、就職の際にはより高い能力が求められるようになります。
将来は、ルーティンワークや単純作業だけでお給料をもらう事が難しくなり、求められる人材になる努力やスペシャリストになる向上心が、これまで以上に必要となるのです。
家庭学習を行うことで、力の土台を養う
これまでの就職では「対人が苦手だから、事務の仕事をしたい」「勉強が苦手だったから、工場作業の仕事に就いた」という選択肢がありましたが、今後はこのような代わりの選択が急速に少なくなります。
楽をしたり安定することが難しくなる社会の中で活躍する人になるためには、多くの物事に興味関心を持ったり、自主的に学ぶ姿勢が求められます。
文部科学省でもアクティブラーニング(主体的な学び)が必要とされていますが、家庭学習を自ら行うことこそが、自ら学ぶ姿勢を作る土台となるのです。
この基礎を作れるタイミングがまさに小学生ですから、単純な「学力」や「成績」だけでなく、子どもの能力を高める1つの方法として家庭学習が必要になります。
小さなつまづきが後々のツケになる
効率良く勉強を進めるためには、習った事を無駄なく吸収し、次にステップアップすることが大切です。
勉強の苦手やつまづきが出来た時、それを放っておいてしまうと、次第に学校の勉強についていけなくなります。
これによって「つまづく→分からなくなる→勉強が苦手になる→さらにつまづく」という悪循環ができてしまうため、つまづいた時点で早めにフォローすることが重要です。
小学生の勉強は大人から見ると簡単なこともあり、1つのつまづきを軽視しがちですが、その積み重ねによって対処が追い付かなくなるほど、大きな問題になってしまうのです。
毎日の家庭学習でつまづきを乗り越える
勉強をするうえで最も問題なのは、「できない事・解けない事」ではなく、そこから目を背けてしまう事です。
家庭学習の習慣が毎日つけば、その日のつまづきをその日のうちに解決でき、時間をロスすることがありません。
小学生のうちは、家庭学習に1日何時間もかける必要はありませんから、数十分だけでも学びに時間を割く癖をつけておきましょう。
家庭学習の習慣が中学生・高校生で役立つ
学年が上がるにつれて勉強の内容が難しくなっていくと、理解できない箇所やつまづきも多くなりやすくなります。
また、科目が増えることで復習する内容も増え、必然的に家庭学習の時間を長くとる必要が出てきます。
小学生のうちに家庭学習を行っていた子供は、時間を30分から1時間に、1時間を2時間に――とスモールステップで進めていけますが、習慣化できていなかった子供は急に数時間の勉強時間が必要になり、継続しにくくなるのです。
子どもが中学生や高校生になった時、勉強に対して苦手意識を持たないよう、そして勉強以外の事にも注力できるよう、小学生のうちから家庭学習を行っておきましょう。
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国語は「読解力」が必要に
国語において大切な力は何と言っても、筆者の主張や主人公の気持ちを正しく理解する「読解力」です。
これは小学生のうちだけでなく、高校入試やセンター試験の問題でも多くの問題が出題されており、中学生以降にも重要な力になります。
もちろん、国語以外の教科においても文章問題はつきものですから、読解力はすべての勉強で必要な要素です。
しかし、読解力は一朝一夕に身に付くものではないため、小学生のうちから活字や文章に慣れ、少しずつ身につけていく必要があります。
今やゲームや漫画、アプリなどさまざまな娯楽用品があり、小学生は楽しいものを選びたくなるものですが、少しずつでも読書をする癖をつけていきましょう。
算数は速くて正確な「計算力」を
算数だけでなく数学においても、計算力は絶対的に伸ばしておきたい学力です。
中学生の勉強の約70%、高校生の勉強の約90%は計算力が問われるため、小学生のうちから早く正確に計算できる練習をしておきましょう。
ただし、小学生の算数では計算問題は約30%ほどしか行わず、図形や表・グラフなど他の勉強が中心になっています。
つまり、計算力を伸ばすためには家庭学習で意識的に計算問題を取り入れ、繰り返し行っていかなければなりません。
学校の復習だけでは不足があるため、先を見越して計算慣れしておけるよう、毎日継続してみましょう。
理科の勉強は、国語と算数の応用
身近な要素も多くあり、子供が興味を持ちやすい理科は、実は国語の「読解力」と算数の「計算力」がベースになっています。
問題文や示されている状態を正確に把握し、さらに正しい数式を考えて答えを導きだしていくのです。
小学生の理科は読む問題が中心となるため、すぐに計算力が必要になることはありませんが、中学生や高校生になると徐々に、読解力と計算力の両方を応用して解く問題が増えてきます。
いずれにしても、国語と算数の学びをしっかりと行えば身に付くものですから、家庭学習を着実に行えている子であれば苦手を作りにくいでしょう。
ただし、理科は学びそのものに興味が持てないと、勉強していて苦痛に感じてしまうため、日ごろから多くの物事に興味を持ち、「なぜ?」「どうして?」を考える習慣を持てるよう促してください。
暗記必須の社会では記憶力も必要に
様々な歴史、地理、暮らしなどを学ぶ社会では、文章が中心となるため「読解力」が必要不可欠です。
また、答えが明確になっている社会では、多くの名称や年号、歴史の流れを覚えなければならないため、加えて「記憶力」が必要になります。
覚えることが少ない小学生のうちに、基礎となる学習内容を暗記できれば、中学生・高校生になってからの社会で苦手意識がつきづらく、勉強が楽になるのです。
記憶力を高めるためには、暗記をしてインプットした情報をアウトプットするのが最も効率的です。
英語は「語彙力」がすべての基本に
英語だけに限らず、他国の言語を学ぶ時はどれだけ単語を知っており、それを使いこなせるかがカギになります。
たとえ文法がわかっても、相手が何を話しているか聞き取れても、単語が分からなければ全く理解ができず、また自分も伝えたいことを話せないからです。
逆に、語彙力さえあれば単語をかいつまんで、内容をある程度は理解していくことができます。
小学生のうちから多くの英単語に触れ、語彙力を高めていくことで、グローバル社会で活躍する人材の基礎をつくることが可能です。
今日からやりたい!小学生の家庭学習方法
辞書を活用した読書&要約
読解力を身につけるためには、小学生の頃から文章を読むことに慣れ、さらに内容がきちんと頭に入ってくる癖をつけることが大切です。
文章は、状況や状態などをより詳しく説明するため、難しい文章ほど複雑に構成されていますが、どの様な文章にしろ「ようは何が言いたいのか」を捉える必要があります。
つまり、読解力を高めるためにはただ本を読むだけではなく、その要約を行うのが効果的です。
小学生のうちは長い文章を一気に読むのではなく、1章ごとに少しずつ読み進めて要約を書いたり、短いお話を活用しましょう。
また、分からない言葉はそのままにせず、辞書を引いてきちんと内容を理解しながら、読み進めるようにしていきます。
これは内容の正確な理解につながるだけでなく、日本語の語彙力アップにもつながるため、積極的に行うことをおすすめします。
計算は時間制限&タイムアタックで実施
計算力を高める事は、単に正答率が高いというだけでなく、いかに早く解けるかというスピードも重視されます。
中学生以降のテストはもちろん、高校・大学入試においても、「スピーディーに進めないと、すべて解き終わらない」という事態が発生するからです。
また、数学の文章問題もより一層考える力が求められるようになるため、単純な計算問題に多くの時間を割く事はできません。
家庭学習で計算問題を行うときは、必ず時間を計測したり、時間制限を設けて解くようにしましょう。
簡単なレベルから徐々に難易度を上げていき、難しい問題でも正確に早く解ける習慣をみにつけてください。
英単語は1日2~3個の暗記でOK
これまでに英語に触れていない小学生、英語に対して興味がないお子さんは、まず英語に親しみ、楽しめる環境を作ってください。
歌や絵本を取り入れたり、英語を使ったゲームをするなど、どのような方法でも構いません。
英語に対して関心を持たないことには、英単語の暗記でかなり苦戦してしまいます。
英語への学習意欲を持っている子は、毎日2~3個ずつ英単語を覚え、少しずつ語彙力を伸ばしましょう。
もちろん、覚えた英単語は少しずつ忘れていってしまいますので、3~4日おきに復習し、記憶を定着させてください。
多様な経験から学ぶ事も勉強!
「勉強」「家庭学習」と聞くと、どうしても机上の学びを思い浮かべてしまいますが、体験・経験からの学びも非常に大切です。
様々な物事に触れることは社会性を育てるだけでなく、その時に生じた疑問や抱いた夢が、学習意欲の向上に結びつきます。
特に、小学校低学年の間は、文字や言葉よりも感覚で学ぶ時期ですから、五感を使った学びが非常に有効です。
習い事に通ったり、職業体験に行くことも良いですが、毎日家庭の中で小さな経験を積み重ねることも重要になります。
植物や動物を育てる、料理や家事を手伝う、家にあるもので工作してみるなど、勉強になることは意外とたくさんあるものです。
小学生でも家庭学習が続くたった2つのコツ
保護者が興味を示し、伴走してあげる
小学生のうちはまだまだ自分の意思が弱く、勉強以外の楽しい事に夢中になりやすいものです。
集中して家庭学習に取り組むためには、保護者が勉強している姿を見守り、頑張りを褒めてあげるのが一番です。
正解して褒められることも必要ですが、家庭学習が習慣化できていないうちは、勉強している事そのものを褒められることで達成感を感じ、継続への意欲を示します。
また、「どんな部分が勉強になった?」「どこが難しく感じたの?」とより具体的に話題にすることで、一層頑張ろうという気になります。
データを出して意欲を高める
家族に褒められる達成感とは別に、自分が家庭学習をすることで「できるようになった」「分かるようになった」と実感したり、毎日勉強できていることを認識することも、継続力に影響します。
このような要素は、数字やグラフで可視化することで認知が高まるため、その場で何となく感じるよりも視覚的アプローチが必要です。
毎日の家庭学習状況や正答率をデータ化するのは大変な作業ですが、タブレット学習の教材なら自動で算出してくれるため、保護者の手を煩わせることもなく便利に利用できます。
細かな変化も逃さず情報をキャッチして正確なデータを出してくれるうえ、苦手の分析や解きなおしも行ってくれますから、復習や補足の教材としても十分活用が可能です。
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