不登校の小学生は増加傾向
小学生の不登校児童数の現状
文部科学省の調査によると、令和4年度に不登校と判断された小学生は全国で105,112人に上り、前年度から約29%増加しました。
在籍児童に占める不登校の割合は1.7%で、これは平成3年度の調査開始以来最も高い数値です。
また、不登校児童のうち約44.6%が90日以上欠席しており、そのうち一部は1年間ほとんど登校できていない状況です。
こうしたデータから、不登校が一時的な問題ではなく、長期化しやすい傾向にあることがわかります。
しかし、不登校の子どもの割合が増えているということは、それだけ多くの家庭が同じ悩みを抱えているということでもあります。
あなたとお子さんは、決して特別な存在ではありませんので、ひとりで抱え込む必要はないのです。
不登校になっても希望は必ずある
我が子が不登校になると、保護者は「このまま学校に行けなくなるのでは」と不安になるかもしれません。
しかし、不登校は子どもなりのSOSサインであり、環境に適応できずに困っている証拠です。
つまり、適切な対応をすれば、必ずまた新しい一歩を踏み出せる日が来るということです。
大切なのは、子どもの心に寄り添い、ゆっくりと休ませることと、あきらめないことです。
そして、焦らずに子どものペースに合わせて、学校以外の学びの場を探したり、信頼できる専門家に相談したりしながら、子どもに合った解決策を見つけていくことです。
保健室登校や別室登校から始めたり、場合によっては転校を視野に入れたりと、柔軟な対応が求められます。
不登校の期間は子どもによって様々ですが、一般的には3か月から1年程度と言われています。
この間、子どもの変化を見守り、できることから一歩ずつ前に進んでいきましょう。
小学生が不登校になる主な原因
母子分離不安や環境変化への不適応
小学生の不登校の原因として、母子分離不安や環境変化への不適応が挙げられます。
特に低学年の児童は、母親から離れることへの不安から登校を渋ることがあります。
また、幼稚園や保育園から小学校への移行期に、新しい環境に馴染めずに不登校になるケースもあります。
これは「小1プロブレム」とも呼ばれ、学校生活のルールや集団行動に適応できない子どもが、不安やストレスを感じてしまうのです。
さらに、学年が上がるごとのクラス替えや、転校などの環境の変化に適応できない場合も、不登校のきっかけになり得ます。
人間関係の問題とストレス要因
友人関係のトラブルやいじめも、不登校の主な原因の一つです。
子ども同士のちょっとした言い合いや、相手が気にしていないようなことでも、敏感な子どもは深く悩んでしまうことがあります。
また、先生の言動や指導方法が子どもの性格に合わないと感じる場合も、学校に行きたくないと思うきっかけになるかもしれません。
大人から見れば些細なことでも、子どもにとっては大きなストレスになり得るのです。
このような人間関係の問題は、表面化しにくく、本人も周りも気づきにくいため、見過ごされがちな点には注意が必要です。
学習面の困難さと発達障害の可能性
勉強など学習面でつまずきを感じている子どもも、不登校になりやすい傾向にあります。
授業についていけない、宿題が多くて大変、テストの点が悪いといったことが重なると、学校が楽しい場所ではなくなってしまうのです。
特に、発達障害のある子どもは、学習面で困難を抱えていることが多く、周りの理解や支援が不可欠です。
読み書きや計算が極端に苦手だったり、集中力が続かなかったりするのは、実は発達障害特有の症状かもしれません。
学習のつまずきが不登校の原因だと考えられる場合は、専門機関で発達障害の診断を受けることも選択肢の一つです。
適切な支援があれば、子どもの学校生活はずいぶん改善するはずです。
不登校の子どもに対してやってはいけないこと
無理強いや詰問は厳禁
不登校の子どもに対して、「学校に行きなさい」と無理強いしたり、「なぜ学校に行かないの?」と詰め寄ったりしてはいけません。
このようなアプローチは、子どもの心を閉ざしてしまい、状況をさらに悪化させる可能性があります。
不登校の原因は複雑で、本人もはっきりと説明できないことが多いのです。
子どもを問い詰めるのではなく、子どもの気持ちに寄り添い、理解しようとする姿勢が大切です。
学校に行けないつらさを受け止め、安心して休める環境を整えることが、子どもの回復への第一歩となります。
一つの学校にこだわり過ぎない
「今の学校に通い続けることが最善」と考え、一つの学校にこだわり過ぎるのは避けましょう。
環境の変化が不登校の原因になっている場合、今の学校に戻ることがかえってストレスを増大させるかもしれません。
子どもの状況に応じて、保健室登校や別室登校、フリースクールの利用、転校など、柔軟な選択肢を検討することが重要です。
学校復帰が最終目標ではありますが、まずは子どもの心の安定を優先し、焦らずに個々に合った道を探っていきましょう。
親だけで抱え込まない
不登校の問題を親だけで抱え込んでしまうのは、親子ともに大きな負担となります。
周囲に相談することに抵抗を感じるかもしれませんが、一人で悩みを抱え込まず、専門家や経験者に助言を求めることが大切です。
学校の先生やスクールカウンセラー、医療機関、教育委員会、不登校支援団体など、頼れる相談相手は意外と多いものです。
また、同じ悩みを持つ保護者同士で情報交換することで、新たな気づきが得られるかもしれません。
周囲のサポートを上手に活用しながら、親子で一緒に不登校の問題に向き合っていきましょう。
親ができる5つの具体的な対応
休養の必要性を認める
不登校の子どもは、心身ともに疲れ切っている状態です。
まずは、学校を休んでゆっくり休養することを認めてあげましょう。
「学校に行かなきゃいけない」というプレッシャーから解放され、安心して休める環境が何より大切です。
休み始めの時期は、日中ゆっくり眠れるように配慮するなど、子どものペースに合わせた生活リズムを整えることが回復への第一歩となります。
休養が必要な期間は子どもによって異なるため、焦らずに見守ることが重要です。
子どもの気持ちに寄り添う
不登校の子どもは、学校に行けない自分を責めたり、保護者に申し訳ないと感じたりしているかもしれません。
そんな子どもの気持ちに共感的な態度で寄り添うことが大切です。
「学校に行けなくてつらいよね」「無理して行く必要はないからね」など、子どもの気持ちを受け止める言葉をかけてあげましょう。
また、子どもが不登校の悩みを打ち明けてきたら、じっくりと耳を傾けることが大切です。
子どもの話に耳を傾け、理解しようとする姿勢が、子どもの心を開くきっかけになります。
学校と連携を取る
不登校の問題に対処するためには、保護者と学校が連携を取ることが不可欠です。
担任の先生やスクールカウンセラーと定期的に情報交換を行い、子どもの状況や支援方針について共有しましょう。
学校の協力を得ながら、子どもに合った学習支援や登校支援の方法を探っていきます。
保護者と学校が同じ方向を向いて取り組むことで、子どもも安心して前に進みやすくなります。
別室登校など柔軟な選択肢を考える
教室に入ることが難しい場合でも、保健室や別室での登校から始めるのも一つの方法です。
別室登校であれば、他の児童との接触を最小限に抑えながら、徐々に学校生活に慣れていくことができます。
また、フリースクールやオンライン学習など、学校外の学びの場を利用するのも選択肢の一つです。
子どもの状況に合わせて、柔軟に登校方法を検討していきましょう。
専門家や支援団体に相談する
不登校の問題は、保護者だけで抱え込まずに、専門家や支援団体に相談することが大切です。
カウンセラーや医療機関、教育支援センター、フリースクールなど、様々な支援リソースを活用しましょう。
専門家からのアドバイスや、同じ悩みを抱える保護者との情報交換は、問題解決への大きな力になります。
周囲の支援を受けながら、子どもに寄り添ったサポートを継続していくことが何より重要です。
一歩ずつ前へ!学校復帰に向けた4ステップ
心身の休養と好きなことを見つける
不登校の子どもにとって、まずは心身の休養が何より大切です。
学校に行かなければならないというプレッシャーから解放され、ゆっくりと休む時間を確保しましょう。
休養期間中は、子どもの好きなことを見つけるチャンスでもあります。
絵を描く、音楽を聴く、読書をするなど、子どもが興味を持てることから始めてみましょう。
好きなことに没頭する経験は、自己肯定感を高め、回復への原動力となります。
子どもが「もっとこれをやりたい」と意欲を示したら、その活動を応援することが大切です。
学習面のサポート方法
不登校が長期化すると、学習面での遅れが気になってきます。
しかし、急ぎすぎないで、子どものペースに合わせて少しずつ学習を再開していきましょう。
自宅学習を始める際は、子どもの得意な教科や興味のある分野から始めるのがおすすめです。
学校の教材だけでなく、市販の問題集や通信教育、オンライン学習など、様々な学習ツールを活用するのも効果的です。
子どもの理解度に合わせて、柔軟に学習方法を工夫していきましょう。
学習面でのサポートは、家庭教師や学習塾など、外部の専門家に相談するのも一つの方法です。
学校以外の居場所づくり
学校に通えない期間が長引く場合、学校以外の居場所づくりを考えることも大切です。
近所の公園や図書館など、子どもが安心して過ごせる場所を見つけることから始めましょう。
また、フリースクールやオンラインの交流の場など、同じような悩みを抱える子ども同士が集まれる場所に参加するのもおすすめです。
学校以外の居場所では、学校とは違った人間関係や新しい刺激を得ることができます。
子どもが安心して自分を表現できる居場所は、回復への大きな一歩となるでしょう。
復帰のタイミングと方法を見極める
学校復帰は、子どもの回復状況に合わせて、慎重にタイミングを見極めることが大切です。
子どもの表情や言動から、「学校に行ってみたい」という気持ちが感じられたら、まずは短時間の登校から始めてみましょう。
午前中だけの登校や、給食までの登校など、無理のない範囲で徐々に登校時間を増やしていくのがおすすめです。
登校再開後も、子どもの様子を見ながら、柔軟に対応していくことが求められます。
困ったことがあれば、すぐに学校や専門家に相談し、子どものペースを大切にしながら、学校生活への適応を図っていきましょう。
不登校の子どもを持つ親が知っておきたいこと
不登校は珍しいことではない
不登校の子どもを持つ親は、「うちの子だけが学校に行けていない」と孤独感を抱えがちです。
しかし、文部科学省の調査によると、全国の小学生の約1.7%が不登校状態にあることが明らかになっています。
つまり、不登校は特別なことではなく、多くの家庭が直面している問題なのです。
不登校の子どもを持つ親同士が集まる場や、オンラインコミュニティなどに参加することで、同じ悩みを抱える仲間と出会い、情報交換することができます。
「自分たちだけではない」と実感することで、孤独感が和らぎ、前向きな気持ちになれるでしょう。
焦らず長い目で見守ることが大切
不登校の子どもを持つ親は、「早く学校に戻ってほしい」という焦りを感じるかもしれません。
しかし、不登校の回復には、平均して3ヶ月から1年程度の時間がかかると言われています。
子どもの気持ちに寄り添い、焦らずに長い目で見守ることが大切です。
不登校の期間は、子どもが自分自身と向き合い、心を癒やす大切な時間でもあります。
この期間に、子どもは自分の好きなことを見つけたり、新しい関心事を育てたりすることができます。
親は、子どもの興味関心に耳を傾け、できる範囲でその活動を応援してあげましょう。
子どもが自己肯定感を取り戻し、自分らしさを発揮できるようになることが、回復への第一歩となります。
親自身のストレスマネジメントも忘れずに
不登校の子どもを支える親は、知らず知らずのうちにストレスを溜め込みがちです。
子どものことを考えるあまり、自分自身の心身の健康を後回しにしてしまうことがあるのです。
しかし、親が疲れ切ってしまっては、子どもの力にもなれません。
親自身のストレスマネジメントを怠らないように心がけましょう。
家族や友人、同じ立場の親同士で悩みを共有し、支え合える関係性を築くことが大切です。
また、趣味の時間を持ったり、リラックスできる方法を見つけたりするなど、自分自身の心の健康にも目を向けるようにしましょう。
親が心身ともに健康であることが、子どもを支える源となるのです。
不登校は成長のチャンス!あなたは一人じゃない!
子どもに合った道を一緒に探していく
不登校は、子どもが自分らしい生き方を模索する過程と捉えることができます。
学校という型にはまらない子どもたちが、自分に合った学び方や生き方を見つけていくためのヒントが、不登校の経験の中に隠れているのかもしれません。
親は、不登校の子どもの可能性を信じ、子どもと一緒に新しい道を探っていく姿勢が大切です。
子どもの個性や興味関心に合わせて、多様な選択肢を提示し、子ども自身が主体的に決められるように支えていきましょう。
時には試行錯誤もあるかもしれませんが、子どもの気持ちに寄り添い、対話を重ねながら、ゆっくりと前に進んでいくことが何より大切です。
不登校の経験は、子どもの人生を豊かにする糧となるはずです。
相談できる場所や支援リソースを活用する
不登校の問題に向き合うとき、親子だけで抱え込む必要はありません。
周囲には、相談できる場所や悩みを聞いてくれるリソースがたくさんあります。
学校の先生やスクールカウンセラー、医療機関、教育委員会など、公的な相談窓口を積極的に活用しましょう。
また、フリースクールや不登校の親の会など、同じ悩みを抱える仲間と出会える場所もあります。
オンラインでも、不登校に関する情報交換や相談ができるコミュニティが数多く存在します。
一人で悩まず、周りの支援を上手に活用しながら、前に進んでいくことが大切です。
不登校の子どもを持つ親も、決して孤独ではありません。
みんなで知恵を出し合い、支え合いながら、不登校の問題に立ち向かっていきましょう。